このゲームには、ずっと「絶対に打たない駅」がひとつありました。自分が出発した駅です。選んで、電車がその上に停まって、実際にキーを消費する最初の駅名はその次の駅——という具合でした。

環状線では気づきにくい話です。直線の路線ではもっと厄介でした。方向を選べば起点の終着駅は自動的に決まるので、そもそも出発駅を選ぶ操作がありません。つまり京浜東北線の大船も、銀座線の浅草も、誰ひとり打ったことがなかったのです。ゲームの中に存在しているのに、このゲームがもつ唯一の動詞では触れられない駅でした。

これを変えました。出発駅そのものが、最初に打つ駅名になります。

東京駅を走行中の山手線。駅名標に「東京」が表示され、ピクトグラムの人物が入口からホームへ走っている

1回の走行がどう変わったか

山手線一周は、これまで30駅ぶんの駅名でした。いまは31です。全駅を1回ずつ、そして最後にもう一度、出発した駅。まだ何も打っていない状態で、隅のカウンタは 0/31 と表示されます。

直線の路線も1駅増えました。京浜東北線なら、大船を除いた46駅ではなく、大船を含む全47駅です。

それ以外は何も変わりません。正確率もCPMもWPMも計算方法は今までどおりで、単にその前に駅名がひとつ増えただけです。

スタート地点は改札の外

最初に打つのが「自分がいる駅」なら、カウントダウンが終わった瞬間、あなたはまだホームにいません。改札の外にいます。駅名標もそう言います。ふだん「ひとつ前の駅」が入る下の帯には名乗るべき駅がないので、代わりに改札と表示されます(ロンドンの路線では Ticket hall)。

そして乗車前なので、電車にはやることがありません。この最初の区間のあいだ、電車は出発駅に停まったままです。毎回の走行の1駅目でマップが静止したままになるのは寂しいので、この区間には見るものを用意しました。

マップの拡大:駅の入口を表すアーチ、走っている最中のピクトグラム、そして目指す緑色の東京駅マーカー

あなたが入力しているあいだ、人が入口から走り出てホームへ向かいます。日本の駅の案内サインと同じ、平面の黒いシルエットの流儀で——つまり非常口の走る人と同じ視覚言語で——描いています。ロンドンのラウンデルと同じく、どこかから持ってきたものではなく、コードで描いたオリジナルです。

知っておく価値があるのはここです。歩幅はあなたの打鍵速度そのものです。ポーズの切り替えは時計ではなく、進んだ距離で決まります。速く打てば全力疾走になり、考えこんで手が止まれば人も止まります。片足を浮かせたまま、次のキーが来るまで固まったままです。駅名を打ち終えると、人は駅に吸い込まれ、そこから先は電車が引き継ぎます。

環状線は出発駅を2回打つ

入るときに1回、一周して戻ってきたときにもう1回。山手線が30駅で31駅名になるのはこのためです。

奇妙に聞こえますが、これこそが要点です。環状線の走行はもともと出発地点に戻って終わります。だから30駅のうちどこから始めても一周の長さが同じで、だからこそ他人のタイムと比べられる。乗車の区間を足しても、その性質はそのままです。渋谷で始まり、渋谷で終わり、あいだに環がまるごと入っています。

ランキングがすべてリセットされた理由

1回の走行で駅名がひとつ増えるということは、変更前のタイムと変更後のタイムが同じものを測っていないということです。31駅名の一周は、30駅名の一周より単純に打鍵量が多いのです。

そこで全路線のバージョン番号を上げ、すべてのランキングが新しく始まりました。自己ベストも新しいバージョンで記録されるので、どの路線でも次の1回が自己ベストになります。

古い記録はひとつも消していません。 すべて古いボードの下にそのまま残っていて、新しいボードがまだ埋まっていないあいだは、その下に前バージョンのランキングが折りたたまれた状態で置かれています。旧ルールであることも明記してあります。分けているのは意図的です。あれらは1駅ぶん短く、したがって必ず速いので、混ぜれば永久に上位を占めてしまいます。新しいボードが埋まれば、アーカイブは静かに姿を消します。

この変更で見つかったバグ

弱点特訓は、あなたが打ち間違えるかなを含む駅を集めて練習用の路線を組み立てます。これまでは出発駅が打たれない仕様だったため、いちばん弱い駅が飛ばされないよう、先頭にダミーの出発駅を差し込む必要がありました。しかもそれは東京——「あなたの苦手な駅ではない」という理由でわざわざ選ばれた駅です。

その回避策はいまや正反対の効果しか持たないので、削除しました。特訓は最初からあなたのいちばん弱い駅で始まります。


いちばん早いのは走ってみることです。山手線を一周して、駅名標の最初の名前を見てください。それはいまあなたが立っている駅で、改札のところに、あなたがそれを打つのを待っている人がいます。